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■ キョン「――――さあ、零崎を始めよう」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/07(木) 02:32:58.20 ID:qzqcQ83sO
開いた理由を聞こうじゃないか。

353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 00:21:16.34 ID:itgStgZpO
>>346

「あなたは何者なんですか?」

 手段の一つとしてあった、"口封じに殺す"という未来に続かない選択。
思考の一つとしてあった、逃避、逃亡、逃走という何処にも続かない選択。
可能性の一つとしてあった、刃を自らに向けるという圧倒的に何も無い選択。
それら全てを捨てて俺は自らの意思で一歩目の前の零崎双識と名乗る男に、
近づいた。

 そこにあったのは確信、予感めいた何か、
シックスセンスと言えば格好の良いただの勘に近い、
しかし全身の毛の一本に至るまでがそれを正答だと言っている。
俺は、知っているこの感覚を、この零崎双識という人間を、

何よりも零崎という存在、そのものを。
              マインドレンデル
「私は零崎一族が一人、自殺志願、零崎双識、しがない殺人鬼さ」



「よろしく、お兄さん」

354 名前: ◆tSOF7NFWbk :2009/05/09(土) 00:28:04.31 ID:o1tTw8YXO
「今日はここでおしまいですね。あとはホテルに戻ってまた明日に備えるだけです。お疲れ様でした」

 色々あって、今、彼等は祇園のとある茶屋にいた。創業1897年、焼き饅頭で有名な和菓子屋らしい。
 そこを彼等は今日最後の観光とし、くつろいでいた。
「それもお菓子を奢ってまでいただいて」
「だったら頼むなよ……」
 清水寺を出た後、涼宮は彼に向かって
「清水の舞台から飛び降りなかったんだから、今度は飛び降りたつもりでなんか奢りなさい」
 なんて滅茶苦茶なことをいい、ここの払いは全て彼持ちとなっていた。
 そして、女性陣の方には饅頭が山ほど積まれ、涼宮と長門がばくばくと、朝比奈は時折り喉を詰まらせそうになりながら小さな口で一生懸命に頬張っていた。
「まあ、僕もあなたも、何の異常も無かった。そのことに感謝しようじゃありませんか」
 何に感謝するんだ。俺の財布の中身を減らしていってるハルヒにか? と彼は冗談交じりに言った。
「そうですね……、せっかくの京都です。神様に、なんてどうです?」
 そりゃいいな、と、彼は笑った。古泉も笑った。

「まあ縁結びの神様の下でナンパして墓穴を掘ったなんてのもなかなかの笑い話ですよね」

「なんで掘り返すんだよ!!」

355 名前: ◆7SHIicilOU :2009/05/09(土) 00:28:40.39 ID:itgStgZpO
>>350
これでいいかな?

356 名前: ◆tSOF7NFWbk :2009/05/09(土) 00:29:14.74 ID:o1tTw8YXO
あ、>>329です

357 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 00:30:26.17 ID:zVjTjVFz0
 

「……………あ?」

とりあえず、状況が理解できない。

いや、理解はしている……それも違うか。疑問を感じるべき所がないのだから、理解も何もない。
いやいや、疑問は感じるべきではないのか。いやだがしかし、これは当然のことだよな……?

なにやらはっきりとしない奇妙な感覚に悩んでいる俺に、

「………説明を、求める」

長門の静かな声がかかる。

「あー……説明?」
変に冷静な感覚があるがやはり混乱しているのも確かなのだろう。
長門が何を聞いているのかが分からない。
長門の言葉をオウム返ししてしまう。

それに、長門はいつもの無表情で。
「この事態の、説明を」
俺の握っている短刀の刃を掌で受け止めながら。
「何故、貴方は」
どこか、震えているような気がする声で。

「涼宮ハルヒを、殺害したの」

ハルヒの返り血に濡れた俺に、問うた。
 

358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 00:31:00.87 ID:pQHogdkRO
死吹「わたく死も死援させていただきます」


359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 00:33:59.72 ID:p/yrERrLO
見やすくなったぜサンクス

360 名前: ◆tSOF7NFWbk :2009/05/09(土) 00:34:10.10 ID:o1tTw8YXO

「おや、君達は昼間の……」

 声がして、振り返る。

「そこには、清水坂で出会った、ポニーテールの似合う甚平を羽織ったきっぷのいい美人な女性が立っていた」

「……」
「……」
「……あれ? 君達だったろう。あそこにいたの」
 そう言って、甚平の女性は彼等の前に立った。
「しかしこうして縁があるとは、世の中狭いものだ」
「……」
「……」
 言いたいことはもちろんある。だが先に無礼を働いたのはこちらで、許してくれたのは向こうなのだ、こうして声も掛けて貰えたのだ。ここはスルーが一番かもしれない。
「……自己紹介、ありがとうございます」
 とか思ってたら古泉が突っ込んでいた。
 彼は失礼なこと言ってんじゃねえよと古泉に突っ込みたかったが、甚平の女性は普通に「応」とだけ応えてくれた。

「えー、と、ここにはよく来るんですか?」
置いていかれるのはごめんだとばかりに、彼は甚平の女性に声を掛ける。

361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 00:41:54.41 ID:P1y+Pzo3P
モノローグが会話の一部になるキョンと、モノローグ風に会話するみいこさん
ああややこしいwwww

362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 00:45:07.64 ID:RTe2kTVK0
ハルヒ「すーべーてーはごーっどのーず」
曲識「・・・悪くない」

支援

363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 00:46:34.02 ID:itgStgZpO
>>353

「あぁ、そうだ」

 自分が持っていたそのナイフを俺は振り返り持ち主に返す。
必要ないから。
しかし当然ながら屍は受け取ってはくれない、
仕方が無いので俺は屍の腹部の辺りにナイフを突き刺して。

「ではいこうか兄さん」
「順応が早くていいね、うん、じゃあ行こうか新しい弟君」

 俺はこくりと頷いて、その場を離れる。
死体を放置しておくことも、
俺の指紋がべったりとついたナイフをそのままにしておくことも、
そもそも俺が殺したことも、誰が死んだのかもどうでもよかった。

 それでも俺が足を止めたのは、なんというか、惰性。
俺がただの高校生だったころの、惰性。



「お疲れ様、長門。来世では普通の女の子になれると良いな」

 ばいばい。
 さようなら。
 おやすみなさい。

364 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 00:47:32.90 ID:zVjTjVFz0
 
「いや、何故とか言われてもな」

そんなことは答えるまでもないというか、いや、聞かれて当然のことだとは思うのだが。

つい先程まで、俺達、厳密に言えば俺、ハルヒ、長門の三人で文化祭の準備をしていたのだ。
とはいえ実際のところ、ハルヒがぎゃあぎゃあ無茶を言って俺が準備をさせられて長門が本を読んでいたわけだが、
まあそんなことはどうでもいいだろう。
とにかく、部室の中に木の板といくつかの工具を持ち込んで日曜大工ならぬ放課後大工に勤しんでいたわけだ。
で、SOS団なる怪しい団体の看板になる予定の哀れな木の板に
彫刻刀代わりの短刀で奇っ怪な模様を刻み込んでいたときに、
なんとなくハルヒが視界に入ったのでその首に短刀で切り込みを入れて、
突然のことに「え? ……え?」と血を噴出させながらぼうぜんとしているハルヒの喉に一突き入れて、
そのままなんとなく長門に切りかかった、という顛末で。

「別におかしいことはないよな……
 …って、ちょっと待て」

自分の言葉に自分で突っ込む。滑稽だとは思うが仕方がない。
自分でも自分が何を言っているのか分からないからだ。

 

365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 00:48:09.44 ID:itgStgZpO
>>363

 釘バット、といえばもうそれだけで鈍器が一発で思い浮かぶ。
細かなディティールまで鮮明にイメージできる
それは昔のヤンキー、もしくはツッパリ、もしくは不良、さらにはアウトロー、
そんなちょっと頭のネジが緩んだかむしろキツク締めすぎた反動か
中身が晴れやかに曇天になってる若人の武器というのが定番だが。

 俺は自然に自重のみで硬い地面にめり込むその"釘バット"に嘆息をつく。
釘バットは通常、木製バットに釘を直接カンカンと打ち込んで完成する、
実は使い手の苦労が垣間見える装備品なのだが。

「…」

 この釘バット、愚神礼賛はなんともさらに愉快な構造をしている。
持ち手からバットの本体、釘の一本に至るまでがすべて一つの鉄塊で出来ている。
重量は不明だが、少なくとも両手で持ち上げるのが一杯一杯で
これを振り回して戦闘を行うなんてのはちょっとしたスペクタクルだ

366 名前: ◆7SHIicilOU :2009/05/09(土) 00:49:45.89 ID:itgStgZpO
>>363
俺はまたミスってるよ
――――

 釘バット、といえばもうそれだけで鈍器が一発で思い浮かぶ。
細かなディティールまで鮮明にイメージできる
それは昔のヤンキー、もしくはツッパリ、もしくは不良、さらにはアウトロー、
そんなちょっと頭のネジが緩んだかむしろキツク締めすぎた反応か
中身が晴れやかに曇天になってる若人の武器というのが定番だが。

 俺は自然に自重のみで硬い地面にめり込むその"釘バット"に嘆息をつく。
釘バットは通常、木製バットに釘を直接カンカンと打ち込んで完成する、
実は使い手の苦労が垣間見える装備品なのだが。

「…」

 この釘バット、愚神礼賛はなんともさらに愉快な構造をしている。
持ち手からバットの本体、釘の一本に至るまでがすべて一つの鉄塊で出来ている。
重量は不明だが、少なくとも両手で持ち上げるのが一杯一杯で
これを振り回して戦闘を行うなんてのはちょっとしたスペクタクルだ

367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 00:51:45.31 ID:p/yrERrLO
3つとも面白いから困るwwwwww

368 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 00:53:13.74 ID:zVjTjVFz0
 
おかしい。
いや、おかしくはない。

なぜ殺した。
いや、なぜ殺さない。

殺すのはおかしいだろう。
はて、殺さないのはおかしくないか。

いや、待て。おかしい。。
なんだ。何か、分からないことでもあるか。

分からないことだらけだ。いや、重要なことがわからない。
分かりきっている。別にそれは重要なことでもないし。

はて。
さて。


――― 俺は一体何をしてるんだ?

――― そりゃお前、人殺しだろ。


ああ、合点がいった。

 

369 名前: ◆tSOF7NFWbk :2009/05/09(土) 00:58:11.82 ID:o1tTw8YXO
「ああ、たまにな、で、今回は失業記念ということで、アパートの隣人が奢ってやるというので着いてきたわけだ」
 そう言って甚平の女性は店の入り口を見ていると、男が一人入って来た。
「来たようだ、それじゃ、また縁があれば」
 甚平の女性はそうして店の奥に消えていった。

 そして

 店に入って来たその男と

 彼は

 すれ違った。

「     」
「     」

 彼は何かを喋った気がするし、向こうも何かを話したような気がした。
 だけど彼は本当に話したかどうか解らない、おそらく向こうも同じだろう。
 彼と彼は多分これからずっと会うことは無い。
 もう一生会うことはない
 もう二度と、そして、彼と甚平の彼女もだ。
 もう三度目の縁も、起きないだろう。

 だが、何かが始まるには、それで十分だった。

 その後、涼宮は満足してくれたらしく、時間も遅いので、ホテルに戻ることになった。彼は財布の中身のほとんどを使い勘定を済ませ。茶店をあとにした。

370 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 00:59:20.06 ID:zVjTjVFz0
 

「……どうしたの」

長門が、聞いてくる。
ああ、落ち着いた今なら分かる。
無表情に見えて、困惑している。冷静に見えて、驚愕している。
そりゃあ他のやつには分からんだろうが、俺は三年近く一緒に居て、こいつの成長を見てきたわけだし。
こいつの表情の多少の変化はすぐにわかるさ。まあさっきは混乱していたから読み取れなかったが。
とにかく長門を安心させてやりたいが、

「すまん、長門」

たぶんそれは無理だ。

「俺は人殺しらしい」

自分でもいまいち意味の分からない台詞を、ごく普通の実感を根拠に口にした。

 

371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 00:59:31.37 ID:k+rvKcY5O
なにこのカオス


もっとやれ

372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 01:03:03.37 ID:rqALpYlaO
ちゃんと完結させてくれよ

373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 01:03:38.49 ID:P1y+Pzo3P
なんかこう、YU-NOとかEVEとかをやってる様なザッピング感
脳味噌こねこねな感じが楽しいぜ

374 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 01:06:16.53 ID:zVjTjVFz0
 
ハルヒの死体を見る。
特に何の感慨も沸かない。
別に殺したかったわけでもない。
ただ殺しただけ。

長門の喉を目指していた短刀を見る。
特に何の感慨も沸かない。
別に殺そうとしたわけではない。
殺すはずだっただけ。

「なんだろうな。自分がおかしいことは分かってるんだけどな、それをおかしいとは思わない」

以前だったらこんなことをしたら自分に対して恐怖や嫌悪を感じたのではないかと思うのだが、
今はそんなものは感じないし、感じることも有り得ないと思っている。

何か、自分が別のモノになったような。
いや、自分が自分になったような。

「なにがなんだか分からないが、とにかく俺は人殺しみたいだ」

 

375 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 01:11:33.19 ID:zVjTjVFz0
 

「そう」

長門は静かに、呟いた。

「理解はできない。異常としか認識できない。けれど貴方には異常はない」

すでに立ち直ったのか、困惑の色はほとんどない。
だが、その代わりに。

「事実として。貴方は貴方として殺人鬼になっている」

どこか、悲しげな響きがあった。

 

376 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 01:17:01.03 ID:zVjTjVFz0
 

「殺人鬼、か」

かなり酷い言い様だとは思うが、とはいえ事実なのだし仕方がない。
今気付いたが短刀がさっきの位置と違う。先程から無意識のうちに長門を殺す動きをしていたようだ。
相手が長門でなければ確実に殺していただろう。


「あー……どうしたもんか」

現状は異常ではあるがおかしいことはなにもないとは思いつつ、
実際問題としてこれは大問題だと思う。
なにせ、気付かないうちに殺してしまうのだ。
今は相手が長門だからいいが、他の人間を目にしたら確実に殺してしまう。
って待て。

「しまった。ハルヒ」

どうしよう。殺してしまった。

 

377 名前: ◆7SHIicilOU :2009/05/09(土) 01:20:37.99 ID:itgStgZpO
カオスが続きそうなのでしばらく自重します

ぶっちゃけ即興でかなり長くなりそうだしね

378 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 01:22:00.09 ID:zVjTjVFz0
 
これは大問題ではなかろうか。
殺してしまったのは仕方ないが、殺してしまったのは問題だろう。
なにせ人殺しだ。取りかえしがつかないし俺には普通のことだが普通は大問題だろう。

「どうしたもんか」

繰り返し呟く。
考えても仕方ないのはなんとなく気付いているが気付かないふりをして、

コンコン、と。

ノックの音でわかった。
ああ、古泉か。
中で朝比奈さんが着替えてたりしないことを確認して、
「失礼します」
古泉が扉を開いて―――

 

379 名前: ◆tSOF7NFWbk :2009/05/09(土) 01:22:55.85 ID:o1tTw8YXO
「それで、みいこさん、何頼みます?」

「この店で一番高いものから頂こうか」
「解りました」
「……なんだ、羽振りがいいな」
「ちょっといい仕事があったんで、懐には余裕あるんですよ」
「ふむ……しかし、いいのかお前」
「……? 何がですか?」
「あの、うにーの子、家にいるんじゃないか」
「ああ、あいつはいいんですよ、あいつの僕への愛は本物ですから、この程度じゃ何も起こりません」
「…………」
「……冗談ですよ、冗談です、冗談ですってば! 帰ろうとしないで下さいよ。今家にいないんです、何でもちょっとややこしいことがあったらしくて、本家にいるんです。そんで暇だったからみいこさんを誘っただけで、やましい気持ちは全くないんです。」
「ほう……」
「それに今アパートに居るのはあいつですよ。みいこさんも知ってるでしょう」
「ん……ああ、お前の友達の……」
「です」

「変な髪の変なピアスの変な服装した可愛い男の子」

「……」

380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 01:24:39.83 ID:P1y+Pzo3P
>>377
一旦乙
カオスなのもこれはこれで楽しかったぜ
書き溜め頼むぜ

381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 01:24:51.00 ID:p/yrERrLO
>>377
一旦乙
続き待ってるよ

382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 01:31:29.96 ID:j99buVU0O
人識も登場か

383 名前: ◆7SHIicilOU :2009/05/09(土) 01:32:08.52 ID:itgStgZpO
書き溜め…あんまり期待すんなwww

正直書いてる時は他の人のを見る余裕あんまないから
いまは読に専したい

384 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 01:36:02.99 ID:zVjTjVFz0
 
カッ 、と。
小さな音。


「………? どうかしましたか、長門さん」
部室に入ろうとしたところを長門に止められ、
玄関で拒否られてるセールスみたいな立ち位置で長門に尋ねる古泉。
長門が扉を閉めていなければ、古泉の頭があったはずの位置に突き立っている短刀には気付いていない。

「今、この部屋に入ることは推奨しない」
「どういうことでしょうか。いえ、中で涼宮さんが着替えている、ということならば理解できますが」
未だに自分の状況を把握できていない古泉だが、
「貴方の生命に関わる」
簡潔に事実を伝えた長門の言葉に、真剣な表情になる。
「あなたが冗談を言うとも思えませんが……どういうことでしょう」
「事実。今この部屋に入れば、貴方は確実に殺される」
「……物騒な話ですね。それは、誰に」

二人の話している間に扉に歩み寄った俺は、なんとなく古泉に錐を突き出した。

 

385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 01:42:55.03 ID:p/yrERrLO
キョンやべえwwwwwwwwwwwwwwww

386 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 01:46:45.35 ID:zVjTjVFz0
 

「古泉一樹。事態の理解はできた?」
「……いいえ、全く。どういうことか説明をお願いします。
 ええ、この扉は閉じたままで結構です。腰が抜けて動けそうにないですし」

錐は古泉の眼球の奥の脳味噌一直線だったが、
またもや長門が瞬間的に閉じた扉に阻まれ古泉の眼球には数ミリほど届かなかった。
今は扉の向こうにへたりこんでいる古泉の横にでも転がっているだろう。というか閉まる扉が当たった手が痛い。
いや、そんなことを考えるその前に言うべきことがあるな。

「すまん、古泉。殺しそうになった」
「いえ、そんな軽い調子で言われても困るんですが」
「いや、殺されないでくれてよかった。ハルヒは殺しちまったから」
「………今、冗談では済まない言葉を耳にした気がしますね」

古泉の声から、安穏としたものが完全に消えた。
 

387 名前: ◆tSOF7NFWbk :2009/05/09(土) 01:50:48.67 ID:o1tTw8YXO
最初の異変を彼に伝えたのは古泉だった。

「長門が居ない?」
京都内某所のホテルで、それは始まる。
「ええ、さっき長門さんのクラスから報告がありました。今日の最終点呼が終わり、その後、クラスメイトの方々は誰も見ていないとの事です」
現在の時刻はもう今日とは呼べないくらいの時間になっている。最終点呼が八時頃だったことから、約四時間、長門は姿を消しているという。
「それで、俺達になんの連絡もないってのはおかしいな……」
彼女がこのような自体を起こした事はあったが、前回のは彼しか気が付かなかった。だが、今回は全員が気が付いている。
「はい、つまり、何かがあってここに居ない。そしてそれには、なんの不思議な力も働いていないんです」
「?……どうしてそう言える?」

「実は長門さんを見た人がいるんです。八時以降に。ロビーのフロントの方が、北高の制服を着た人物が出ていくのを見ていたそうです」

388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 01:52:05.52 ID:P1y+Pzo3P
支援

389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 01:59:57.20 ID:nvLkISTcO
>>43の元ネタが気になる

390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 02:00:00.27 ID:AR69RVAR0
なんの偶然か、無駄に文章力のある奴等が一同に会しているなw

391 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 02:01:50.98 ID:zVjTjVFz0
 

「冗談じゃないからな」
「それは確かに、冗談ではありませんね……どういうことですか」
「どういうことも何も、俺にも良く分からないんだが、俺はどうも殺人鬼になったらしい」
「笑えないですし意味が分かりません」
どっかで聞いた台詞だ。なぜだか気持ちが良く分かる。
「俺にもよく分からん。ただ、俺はハルヒを殺して、長門を殺しそうになって、今お前を殺すところだった」

「………………長門さん」
理解を放棄したな。説明を求める対象を変えやがった。

「私にも分からない。ただ、彼は間違いなく彼であり、そして紛れもない殺人鬼」
「……どうやら僕の頭か世界のどちらかがおかしくなってしまったようですね」
なんとなく気持ちは分かるが、お前の頭がおかしいんじゃない。
俺や長門やハルヒだったモノも事態の中にいるんだから、お前が世界の中心じゃない以上お前の頭は関係ない。
「いえいえ、この世界が僕の見ている夢ではないなどと証明することはできないわけですし」
いつもの軽口が返ってくる。意外と元気だな。
「現実逃避がしたくなっているんですよ」
気持ちは分かる。今日はやけにこいつと分かり合えそうだ。
「僕の方は無理ですね。さすがに錐で目玉を貫かれそうになっては」

 

392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 02:02:40.97 ID:a0UX63+B0
>>389
お前なんでこのスレにいるんだよwww

393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 02:03:13.20 ID:ud3H3G8R0
>>389
いーちゃんと人識の会話の際に地の文であった
具体的にどこといわれると忘れた

394 名前: ◆tSOF7NFWbk :2009/05/09(土) 02:03:54.07 ID:o1tTw8YXO
「この自体は大変深刻です。そして何かがおかしい」

ホテルを出て、適当な道を探索する。

「まず長門さんですが、長門さん自身は自分で出ていかれたのでしょう。そこは普通です。いや、普通と言っていいか解りませんが……
とにかく、ここは置いておきます。おかしいのは周りの方々の反応です。まず長門さんのクラスメイトですが、〔まるで長門さんがいなくなるのが普通〕なような振る舞いでした。教師も同じです。長門さんがいない事を全く問題視していない」

とにかく、広いところへ。そう思って進むと、大きな川に出た。
川にそって、歩く。

「そして、ホテルのフロントですが、こちらは更におかしい。〔誰が入ろうが出ようが容認している〕。そんな風でした。おそらく今あなたがホテルを出ても何の注意も受けないでしょう。長門さんも注意されなかったわけですから」

395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 02:11:06.65 ID:nvLkISTcO
言われてみればあったような気がしてきた
西尾作品って読みやすいけど面倒な文体だよな

396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 02:16:00.96 ID:p/yrERrLO
ネウロにブリーチのオサレ成分を足せば西尾っぽい世界観になるような気がする

397 名前: ◆tSOF7NFWbk :2009/05/09(土) 02:16:35.52 ID:o1tTw8YXO
川沿いをずっと歩いていると、誰かが倒れていた。

「あなたがもし出ていかれるのなら、そうすればいい、ですが、僕は行くことは出来ません。僕の任務は涼宮ハルヒに関することなんですから。彼女の元を離れることは出来ません。」

街灯がスポットライトのように、倒れている人物を照らす。

「怨まれようと仕方ないことです。申し訳ありません。ですが、僕としてはあなたに出ていって欲しいとは思いませんね。あなたは涼宮ハルヒのキーであり。SOS団の団員なのですから。」

見慣れた北高の制服。

「そういう意味では、僕は長門さんも大事な方々の中にもちろん入ります。だからあなたを無理に止めようとは思わない」

灰色のショートヘア

398 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 02:18:15.02 ID:zVjTjVFz0
 
残念ながら俺と古泉の間にはどうしようもない溝が生まれてしまったらしい。というか俺が作ったのか。
いきなり殺されかけたわけだし、奴の崇めている神さまを殺してしまったわけだし。
正直、親友と呼んでもいいと思っていた間柄なだけに、本当に残念だ。まあ仕方ないが。

「……それで、どうするんですか」
「ん?」
「あなたが、殺人鬼になった、というのは分かりました。いえ、理解も納得もできませんが分かりました。
 それで、これからどうするんですか」

ああ。そういえばさっきはそれを考えていたんだっけか。

「どうしたもんだろうな。とりあえず殺人犯として出るところに出てしかるべき処罰を受けるべきか?」
一応常識人としての意見を言ってみたのだが。

「それは推奨できない」
「それはやめたほうがいいと思います」

ダブルで否定された。

 

399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 02:21:36.62 ID:pQHogdkRO
>>389
零崎は笑って、ぼくは笑わなかった。

クビシメロマンチストの自由ウンタラな会話だな

400 名前: ◆nPOf42t9xA :2009/05/09(土) 02:28:02.52 ID:zVjTjVFz0
 
「現在の貴方の行動と精神状態から推測すると、
 貴方が警察その他の治安機関に出向いても、貴方はそこにいる人間を無差別に殺害すると思われる」
「僕も同感です。場所がどこでも、相手が誰でも関係なく、人を見た途端に殺してしまいそうな気がしますね。
 あなたが人がいるところに行くのは、誰にとっても不幸な結果が出そうです」

確かに言われてみればそうだ。
すでに何度長門を殺し損ねているのか分からないし。そこらに長門に届かなかった様々な工具が転がってるし。

「そうは言ってもな。じゃあどうすればいいっていうんだ」
人がいるところは駄目、となれば、山奥で隠居でもするしかないのか。

長門は少し考えるように黙り、

「……私の部屋に来て」

感情の読み取れない瞳で、言った。

 

401 名前: ◆tSOF7NFWbk :2009/05/09(土) 02:28:04.09 ID:o1tTw8YXO
「ですから、あわよくば、あなたと長門さん、どちらにも戻って来て頂きたいものですね」

「……」

「つまり、十分気をつけて置いて欲しい。そういうことです。清水坂でも話しましたが、この、京都を覆う力はとてつもなく強大です。それも一つではない。詳しくは解りませんが、複数の力が働いています」

本が好きな、ちいさな女の子。

「もしかすると、長門さんクラスの方も、その強大な力の中にいらっしゃるかも知れません。ですが。僕は本心から、あなた方に帰ってきて頂きたいと思っていますよ。
それでは、頑張ってきて下さい。涼宮さんの心配はなさらずに。ああ、もう一度言いましょう。僕は、本心から、あなた方二人に、戻って来て頂きたいです」

「……古泉、……それは」

402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 02:31:50.96 ID:jCcAYc/j0
もうすぐ堕ちるね

403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/09(土) 02:32:48.62 ID:j99buVU0O
もうそんな時間か

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